FC2ブログ

スポンサーサイト

--.--.-- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

SS ストラップ 2

2013.09.29 (Sun)
 おとといの続きです!(`・ω・´)ゞビシッ!!


 


 







「せんぱーい!遅れますよー」
 ドアの向こうからの呼びかけに、宗一は目を覚ました。
 いまだくっつきたがるまぶたの向こうに、カーテン越しの朝の光が見える。窓の向こうでは小鳥の声が騒がしい。パンの焼ける香ばしい香り────……。
「せんぱーい」
 シーツの間に沈み込んでいた意識が、再び浮上する。しかし温んだ布団の誘惑には抗いがたい。布団に包まれたまま、ぐずぐずとシーツの上を転がる。
「せんぱーい?」
 三度目の呼びかけで、宗一は大きく息をつき、ようやく起き上がった。

 あくびをしながら部屋を出ると、キッチンにいた森永が「おはようございます」とさわやかに笑いかけてくる。
 普段どおりの笑顔をぼんやりと眺めながら、なにかがひっかかった。
 ────なんだっけか。
「朝食出来てますよ。早く着替えちゃってください」
「おー」
 うなずいて返し、洗面所に行って顔を洗い、着替え、食卓に着き、そこでようやく夕べのやりとりを思い出した。
「おい、森永。昨日の……」
「あっ、そうだ!オレ早出だったんだ。そういうわけで先に行きますね。片付けお願いしていいですか?」
「お、おう」
「ありがとうございます、行ってきます!」
 宗一の言葉もろくろく聞かず、森永は殆ど逃げるように慌しく出て行ってしまった。
 開け放したままになった廊下のドアを、眉をよせて眺める。
 なにも、取り上げようとは言ってないのに。
 あのストラップのことだ。
 思い返して冷静になってみれば、我ながら大人げなかったかと今になって思う。
 形状が恥ずかしいとはいえ、それで別に自分が迷惑をこうむったわけでなし。……いや、若干迷惑だが。とはいえ、一番恥ずかしい思いをするのは森永自身なわけで。……恥ずかしいなんてかけらも思わなそうな気もするが。夕べはカッとなって無闇に奪おうとしたが、そこまで目くじら立てることでもあるまい。……よそで見せびらかしたりしなければ。
「……やっぱ取り上げるべきか?」
 嬉しげに同僚に見せびらかす様を想像してやや青ざめる。
 ……いやまさか。そこまでアホではあるまい。
 
 



 
 大学につくと、すでに田所と美春は実験の準備をしていた。
 朝の挨拶を交わして荷物をロッカーにしまい、白衣を羽織る。
 携帯をバッグから取り出そうとしたところで美春が呼びに来た。
「巽先輩、ちょっとこっち見てもらえます……あれ?ストラップつけたんですか」
「あ?」
 美春が宗一の手元を見ている。
 視線を追って携帯を見おろす。
 花束を抱えた生物Bと目が合った。『先輩大好き!』という幻聴まで聞こえた気がする。
「やっだー、かわいいじゃないですか」
 美春の黄色い声にはっとして、宗一は硬直から立ち直った。
 いったいいつつけられたのか。宗一の手にある携帯には、あの、花束を抱えた森永ストラップが揺れていた。
「お土産ですか?って…、それってなんか森永さんに似てるような……」
「ち、ちがう!」
 宗一はとっさに後ろ手にストラップを隠した。
 赤くなったのは羞恥と怒りのためだ。
 も~り~な~が~っ!!!
 
 

 
 その夜の宗一の怒りは怒髪天をついたとかなんとかw
 
 

 
 
 ~~~~割愛~~~~


 森永殴られ中(・∀・)


 ~~~~割愛~~~~






「っとに!こんなもん勝手につけやがって……!」
 散々怒鳴り散らした末に、宗一は最後にそう言い放った。手にした森永ストラップをゴミ箱に向かって振り上げる。
「捨てるんですか」
 森永がぽつりと言った。
 目を吊り上げて振り返ると、たんこぶを押さえながら隅っこでうずくまった森永が、しょんぼりした顔でこちらを見上げている。黒目な、それこそ子犬のような目で。
「捨てるんですね……俺のこと」
「お、お前じゃねーだろ!ただのおもちゃだ!」
「おもちゃでも、俺と同じ顔をしたものを、簡単に捨てられるんですね……いいんです、仕方ないですよね。調子に乗った俺が悪いんだから」
「うっ……」
 宗一は振り上げた手のまま動けなくなった。
 隅っこにしゃがんだ森永は、しょげた顔で床にののじを描いている。
「先輩が俺を捨てても、俺は先輩のストラップ大事にしますから……」
 それは捨てろと言いたい。
 長い葛藤の末、宗一はしぶしぶと手を下ろした。
「……つけねーからな」
 そっぽを向いてふてくされ気味に言ったのに、森永はぱっと顔を上げた。
「ぜってえ、つけねえからな!一生机の中に封印だ!」
「はい!」
 真っ赤になった宗一に、森永は元気よく答えて尻尾をふらんばかりの顔をした。






 ────数日後。
 
 アパートに帰ってきた宗一は、郵便ポストを開けて眉間に皺を寄せた。
 A4サイズの封筒が入っている。受取人は森永哲博。差出人はまたもや『海王社』。
 

 いやな予感しかしなかった。
スポンサーサイト
トラックバックURL
http://kuronekodareka.blog.fc2.com/tb.php/379-8cf213ce
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。