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SS 冬の嵐 1

2014.03.21 (Fri)
 2億をオレに譲りたいという、病弱な御婦人からメールがあったんですよ。

 返信をくれとか言ってたんですが、そのうちに婦人の代理人さんから婦人の身の上話やらのメールが来て、早く連絡するようにとの催促が。

 婦人、代理人と交互にメールが来て、やがてついには姪御さんが登場w

 そのうち、さらに叔母様が危篤なのだそうです!まあ大変w

 早く連絡してください!2億を受け取ってくださいって!

 なんということでしょう!急いで連絡しなければなりません!お金のためじゃないわよっ!病弱で孤独な御婦人が気の毒だからッ!ああだけど!オレ今日は、鉄腕ダッシュ見たいから後でね……!

 

 そのメールも来なくなりました(´・ω・`)


 迷惑メールもストーリー性が出てくるとつい続きが気になりますwログインはしないけどねー


 病弱な叔母様はどうなったのかw


 そしてあんまり関係ないけど思いつきのssを晒しておきます。


 いえ、おば様とは関係ないですw






『 冬の嵐 1 』








 インターホンが鳴ったのは昼前のことだった。
 返事をしながらサンダルをつっかけて玄関扉を開けると、小学生くらいの子供が立っていた。薄手のコートを着てリュックを背負い、ニットの帽子を被った可愛らしい男の子だ。
 ドアを開いた瞬間に向けられた愛らしい天使のような笑顔は、森永の長身を見上げたとたん、不遜な表情に変わった。
「……誰?」
 見上げる形で鼻の頭にしわを寄せながら問われる。
「……誰っていうか……ここは俺の家なんだけど」
 そう、おずおずと答えた。
 思わず気おされてしまったが、誰とは、むしろ自分が訊ねたい。
「あんたの家?」
 子供はますます眉を顰めた。
 なんだか初見の様子と違う、ちょっと可愛くない態度の子供を見下ろしながら、森永は瞬きして首を傾げた。
 近所で見たような顔ではない。知り合いの子供や、親戚筋と言うのとも違う。自分の親類は九州だ。
「友達のところにでも遊びにきたの?家間違えてない?」
「間違えてねーよ。オレは宗一に会いに来たんだ」
 ぶっきらぼうに言って、玄関の奥を覗き込むようにしてくる。
 ニット帽をかぶった小さい頭を見下ろしながら、宗一の友達?まさかな、と思う。宗一は案外子供に対して面倒見のよい方だが、それでも子供から友達認定されるほど遊んでいる暇はないだろう。友達の子供、という線もあるが、友人の少ない彼には考え難い。だとすれば無難な線は……。
「先輩の……宗一さんの親戚の子?」
 言い直した自分の言葉に自分で照れた。宗一さん、だなんて。
 子供がちらりと見上げてくる。
 森永はこそばゆい気持ちのままに微笑みかけた。
「宗一さんは、いまちょっと留守で……」
「気安く呼ぶなっ」
 鋭く言って、子供が小さい拳を握りながらキッと睨んできた。
「宗一はオレの婚約者なんだからなっ」
「そっか、こんや…えっ」
 力強い断言に、ぎょっとして子供を見下ろす。
 子供はごく真剣な顔で、森永を見上げていた。
 玄関に突っ立ったまま、自分の腰ほどしかない子供としばし無言で見つめ合う。
「……君、男の子だよね?」
「愛に性別は関係ないぜ」
「…………君、子供だよね?」
「年齢だって関係ない!とにかくオレは宗一を愛している。三歳の頃からだ」
 小さい指を三本突き出されて再び沈黙した。
 外では冬の終わりの強い風が、びゅうびゅうと吹き荒れている。
 立木の枝が軋みを上げながら揺れ、どこかで空き缶が転がるような音がした。
 子供は唸りをあげる風の寒さに首を竦め、森永を睨んだ。
「おい。いつまでも子供を外に立たせておく気かよ」
「あ、ごめん……ええと、とりあえずどうぞ」
 身を引いて中へと促すと、子供は大きな声で挨拶して玄関に足を踏み入れた。
 台風を家の中に招き入れたような、そんな不穏な予感がした。



 リビングに入った子供は、部屋の真ん中に立ったまま観察するように周囲を見回していた。
 小さな背中を眺めながら冷蔵庫を開け、ジュースを飲むかと訊ねれば、コーヒーがいいといっぱしなことを言う。
「ミルクと砂糖は多めに」
「はいはい……」
 カフェオレにすればいいのかなと思いながら、手が動くままにコーヒーメーカーをセットする。
 缶から豆を移していると、物珍しそうに子供が近づいてきた。カウンターに頬杖をついて足を組み、水差しから注がれる水を見つめている。
「君は、なんて名前なの」
「高比良アラシ。あんたは?」
「森永哲博。宗一さんの後輩だよ」
 森永は水差しを傾けながら、目だけ上げてカウンター越しに子供を眺めた。
 小学校の四、五年生くらい…せいぜい十やそこいらだろう。瞳は大きく黒目がちで、愛らしい顔立ちをしている。しかし妙に落ち着いた態度といい、小さいくせに大人びた仕草といい、ずいぶんと変わった子供だと思った。それとも最近の小学生は、みんなこんなものなのだろうか。
 変わっていると言えば、先ほどこのかわいらしい口から聞き捨てならない発言もあった。
 婚約者だなんて。目の前の子供と宗一は、どうみたって十以上の歳の開きがある。第一ホモ嫌いの宗一が、冗談にも了承するわけがない。……と思う。
「M大生?」
 アラシが顔を上げる。森永は頷いた。
「先輩と同じ研究室なんだ」
「一緒に住んでいるのか?」
 訊ねる視線はカウンターに並んだペアカップを見つめていた。
「ルームシェアしてて……同居人ってことなんだけど」
「ただの同居人?」
「ただのっていうか……別に、普通に同居してるだけだよ」
「ふーん」
 呟きながら、値踏みするような目で見上げてくる。
 居心地の悪い視線に、思わず目をそらしてもぞもぞとつま先で踵を掻いた。
 本音を言えば恋人だと宣言したい。しかし子供相手とはいえ、男同士の関係を軽々しく言うのはためらわれた。そして子供相手とはいえ、自分をただの同居人だなんて言いたくなかった。
「普通の、ねぇ」
 アラシが首を伸ばして、眇めた目で見つめてくる。
 わかりやすく、疑っています、という目線だ。
 森永は口元に笑みを浮かべたまま、あいまいに目を逸らし続けた。
「ええと……あ、そうだ。アラシ君、お菓子食べる?」
 コーヒーメーカーが、ぽこぽこと湯気を立て始めていた。知らぬふりで買い置きのスナック菓子などを出していると、「まあいいか」とつぶやく声が背後で聞こえた。
「愛人の一人や二人」
 続く言葉に手にしたスナック菓子の袋を取り落としそうになった。
「な、なに?いまなんて……」
 アラシは平然と背中を向けると、軽い足取りでソファまで行って、スプリングを軋ませながら尻で飛び込むようにしてど真ん中に座った。背凭れにもたれながら、足をぶらぶらさせてこちらを見上げてくる。
「なぁー、宗一はいつ帰ってくるんだ」
「もうそろそろ……てか、いま愛人がどうとかって」
「安心しろよ。オレは恋人の過去は気にしない主義なんだ」
「過去って、俺のこと言ってんの!?」
 アラシは行儀悪くソファにもたれたまま、片眉を上げて値踏みするように森永を見つめ、それからぷっと小ばかにしたように笑った。
 イラッときた。
 無性にど突いてやりたい。
 いやまて落ち着け。相手は子供だ。
 そのとき、カウンターに置いた携帯電話が呼び出し音を奏でた。
 表示を見ると宗一からだ。
「宗一か?」
 アラシが起き上がって身を乗り出してくる。
 森永は頷いて、通話ボタンを押しながら背中を向けた。
『おう、森永。いま家か』
 聞こえてきた恋人の声に自然に頬が緩む。
 松田家に行っている宗一の要件は、今から帰るということで、昼食はこっちで食べるというものだった。
『駅に着いたら、時間見てもう一度電話するから』
「わかりました。昼食リクエストとかあります?」
『なんでもいい。…あー、なんかアレが食いたい。前にお前が作った酸の入ったサンなんとか』
「酸辣湯?」
『それそれ。あとは適当でいい』
「了解です」
 頷いて返しながら心が弾む。もうすぐ宗一が帰ってくる。お昼は一緒に食べられる。
 携帯を耳に当てたままうきうきしていると、下方から視線を感じた。
 見れば、すぐそばにアラシが立っている。子供は携帯をよこせと言わんばかりに、睨みながら手を出していた。
「……あの、先輩」
『なんだよ』
「いま、家にアラシ君って小学生くらいの子が来てるんですけど」
『アラシ?』
 きょとんとしたような声が通話口から洩れてくる。
『高比良アラシか?静岡の方の親戚の子だ。なんでまた急に』
「静岡!?なんか一人で来てるみたいなんですけど?」
『はぁ!?一人って、たしかまだ八歳だぞ。高比良のおばさん何やってんだよ……』
 宗一の様子からは、やはりなにも聞いていないらしい。
 下を見ると、アラシは相変わらず早く寄越せと手を突き出していて、しかたなくその手に携帯を渡してやった。
「あ、宗一?」
 とたん、ぎょっとするくらいアラシの声のトーンが変わった。
 ほおを薔薇色に染めて微笑みを浮かべ、子供らしい舌ったらずな甘い声で携帯電話に応対している。
「うん、うん。一人だけど大丈夫だったよ。──ごめんなさい、おこらないでっ。どうしても宗一に会いたかったのっ」
 アラシは大きな瞳を潤ませていた。大人しく神妙な声音は、庇護欲をかきたてさえする。
(おいおい。さっきまでとずいぶん態度が違うじゃないか)
 森永は思わずあっけにとられて眺めた。
 それとも、強がっていただけで、本当は不安で仕方なかったんだろうか。
「ママには言ってあるから、連絡なんかしなくても大丈夫だよ──うん、わかった。うん。ボク待ってるから。早くかえってきてね」
 あっ!と思う間もなく、アラシは勝手に携帯を切った。ほい、とそれを投げ渡されて受け取ると、小さな背中はすたすたとソファに歩いて行って、また元のようにふんぞり返る。足を組んでだるそうにこちらへ首を傾けた。
「ねー、コーヒーまだー?」
 ……こいつ。
 高比良アラシの、その正体が見えてきた気がした。
相手によって態度を変える二重人格な性格の子供だ。
 宗一に対しては可愛い子供のふりをして見せて、森永に対しては小生意気な様で愛想笑いさえしない。
(つか俺、舐められてるのか。愛想ふりまく必要もない相手ってふうに……)
 子供に嫌われるたちではないと思っていたのに、軽くショックだ。
 熱いコーヒーにたっぷりのミルクと砂糖をいれる。白いミルクの渦を巻くカフェオレを運んでやると、アラシは「遅いんだよ」と文句を言いつついそいそ起き上がってきて、両手に持ったカフェオレのカップに嬉しそうに口をつけた。
「あちっ」
「大丈夫?急いで飲むと危ないから」
「平気だっつーの。こんくらい」
森永を睨んでふんと鼻を鳴らしてから、唇を尖らせてカップにふーふー息を吹きかける。
 向かいに座った森永は微笑んだ。
 意地っ張りな様子が、大好きな人を思い起させた。
(親戚だもんなぁ。先輩も小さい時は、こんな風だったのかなぁ)
 テーブルに頬杖をついてほほえましい気持ちで眺めていると、視線に気づいたアラシが怪訝そうに眉を顰めた。
「なんだよ。ニヤニヤすんな、キモイ」
「……」
 やっぱり宗一には似ていない。絶対にだ!
「それにしても」
 カップを傾けていたアラシがふと、口元に子供らしからぬ笑みを浮かべた。
「宗一の声、久しぶりに聞いたな。オレのことホント心配しててさ、優しいんだよな。それに相変わらず子供と弱者に弱い」
「アラシ君は先輩が好きなの?」
 テーブルを挟んで向かいに座ると、森永の方がソファの上のアラシよりも目線が低くなる。
 問いにアラシは、見下すような視線で見つめ返してきた。口の周りにカフェオレでできた牛乳ひげが出来ている。
「さっきも言ったじゃないか。オレは宗一の婚約者なんだ」
「……まずそこが信じられないんだけど」
 どうせ園児の頃に約束したとかそういうオチなんじゃないかと、彼の牛乳ひげを見つめながら思う。とても気になる。がむしゃらに布巾で拭いてやりたい。
「初めて告白したのは五歳のときだ。嫁になってくれって言ったオレに、宗一はそのうちなって答えた」
「…………。」
 うん。だと思った!
 想定通り過ぎる答えに逆に黙した森永に、アラシはむっとした顔をした。
「子供のままごと遊びかなんかだと思っているだろう?言っとくが、宗仁さんにも了承を取り付けてあるんだからな」
「えっ!宗仁さんに?」
 アラシはニヤリと笑って、それからソファに正座していそいそとリュックから何かを取り出す。古いノートのようだ。
「オレだってバカじゃない。どうせその場限りの子供の約束だって、宗一も思うだろうことは予想してた。そこを逆手に取ったのさ。見ろ!」
 ソファの上に立ち上がって得意げに掲げられたノートには、『たつみそういちはたかひなあらしとけっこんします』とクレヨンを使ってへたくそな字で書いてあった。その下にはアラシの名前と、これは宗一自身が書いたと思われる署名、さらには宗仁の署名と拇印とが一緒に並んでいる。
「こ、これ……!」
「おっと、奪おうったってそうはいかないぜ?泣いて散々駄々をこねてやっと手に入れた証文なんだからな!ガキのお遊びだと思っていたんだろうがそうはいかない。宗一はオレの嫁だ。三つの頃から計画を立てていたんだからな!」
「三つの頃から!?」
「そうとも!宗一は誰にも渡すものか!あーはっはっはっは!」
 なんという恐ろしい奴。
 アラシは署名の書かれたノートを手に勝ち誇ったように笑っていた。
 森永は震えた。今や彼の牛乳ひげにすら威厳があるように思える。
「で、でもそれ…………日付がないから証文としては役に立たないけど」
 つぶやいたとたん、ぴたりとアラシが口をつぐんだ。
 ノートの文章をまじまじと見つめたのち、おもむろにしゃがんでリュックをごそごそやりだす。
「……書き足しちゃだめだよ?」
「う、うるさい!ちょっと書き忘れただけだからいいんだ!」
 サインペンを握ったアラシが、真っ赤な顔で振り返って怒鳴ってきた。
「オレはホントのホントに宗一の婚約者なんだからなっ」
「でもなー、婚約者っていうわりに……先輩からも宗仁さんからも君の名前は一言も聞いたことなかったけど」
「…………それは、まあ。オレが二十になるまで近づかないって証文も書かされたから」
ソファの座面に膝をついて証文とやらに日付を書き足しながら、小さい背中がぼそりとつぶやいた。
 森永は瞬きしてその背中を見つめた。
 子供は顔を上げないまま、唇をとがらせている。そうやって不満そうにぶつぶつ言うことには、署名の裏面に、『アラシが二十になるまでは宗一に会いに来るのを禁じる』といった内容を、結婚云々の表書きと同時に宗仁さんに書かされたようだった。
 普段はへらへらふわふわしているように見える宗仁さんではあるが、そこは密林を踏破する野生の感が働いたのかなんなのか、妙な子供に対していくらか危機感を覚えたのかもしれない。
 さっきの電話の様子からするに、宗一の方は全くなんにも考えていないだろう。まさにアラシの読みどおり、子供の約束と高をくくって忘れているに違いない。まあ、忘れた所で所詮子供が見様見真似で作った証文だ。さほど実害はないだろうが。
「宗仁さんと約束したなら、先輩に会いに来ちゃまずかったんじゃない?」
 首を傾げて尋ねると、ソファに正座したアラシはますます口をへの字に曲げて、膝の上のノートを睨んだ。
「だって会いたかったんだ。もう、三年も会ってないんだ」
 大好きなのに、とぽつりとつぶやく。
 ノートを睨む大きな目が潤んでまつ毛が震え、堪えるように何度も瞬きした。
 そんな様子を目の前にすると、可哀想に思えてくる。
 若干子供らしからぬ点があるとはいえ、所詮はたった八つの子供なのだ。婚約だのなんだと言っているが、ほんとうはただ単純に、兄のように宗一を慕っているだけなのではないだろうか。ただ、子供らしからぬ思考が回りすぎておかしな風に空回りしているだけで。その結果周りにまで誤解されているのかもしれない。
「婚約までしたのに、宗一は連絡一つくれないんだ」
 アラシがうつむいたまま悲しそうにつぶやいた。
「そうか」
 森永はうんうん、と同情のままに頷く。
 きっとそれは、証文の件は本当に忘れられている。
「二年間はオレ、我慢したんだ。子供の二年って長いと思わない?今年の正月こそって思ってたけど、やっぱり連絡ないし」
「うんうん。先輩もきっと忙しかったんだよ」
「こっちからも連絡しようとしたけど、ママもパパも、じいちゃんばあちゃんにまで止められて」
「うんうん。それは辛いね。連絡くらいいいのにね」
「たしかにさ、昔は毎日のように電話してさ、母さんの携帯料金が六桁行って怒られたりさ、深夜の無言電話はやめてくれって宗仁さんに止められたけどさ、でも、電話の向こうに宗一の息づかいを感じるだけで、宗一が出なくても、その空気と電話でつながってるって感じるだけで幸せだったんだ」
「う、うん……ちょっとやりすぎかもしれないけど、気持ちはわかるよ!特に、息づかいを感じるだけで幸せなんてところはよくわかる!先輩の声は心地いいような声音だしね!」
「だよな!あんた話がわかるな!」
 お互いに前のめりになって大きく頷いた。
「あの声はたまんないよね!」
「うっとりするよな!聞き惚れるよな!」
 アラシは目を輝かせて、そしてふうとため息をついて遠い目をした。
「婚約する前はオレも巽家に行けたし、宗一がこっちに来てくれたりもしたのに。なんか警戒されちゃってさ」
「先輩に?」
「宗仁さんとママ達に。宗一はそういうのには無頓着だ」
「先輩は恋愛方面の機微にはからっきしだからね」
「そこが可愛いところなんだけどな」
「可愛くもあり、厄介な点でもあり」
 森永がこれまでを振り返ってしみじみつぶやく。
 いつの間にかすっかり意気投合して、八歳児と真剣に恋話をしていた。というか、いかに宗一が魅力的かについての語り合いというべきか。宗一の魅力を理解してくれる相手はなかなかいないので、思わず語らいにも熱が入る。
「盆と正月だけだったけど、そのたびに宗一の蒲団にもぐりこんでさー、お風呂は絶対宗一とじゃなきゃいやだって言って、いるあいだは毎日一緒に入ってたよ」
「うわぁ。子供の特権だよなぁ。うらやましい」
「宗一は昔からスタイルいいんだぜ。腰とかきゅっと細くてさ、乳首なんかピンク色で」
「うんうん、そうだね!ピンクだね!」
「それが弄ったりするとサクランボみたいな熟れた色になってさぁ」
「先輩乳首の感度もいいよねー。思わず吸い付いたりすると可愛く鳴いて……」
 ふいに二人そろってはっとした。
「「なんでてめえが知ってる!?」」
 同時に指を突きつけて怒鳴り合った。
(こ、こいつ、まさか本当に先輩に……?)
 当時せいぜい五才だったはずのアラシになにかできるとは思えないが、あるいはこの、ませたくそガキならナニかやったかもしれないとも思う。
 アラシはアラシで憎々しげに森永を睨んでくる。
「おまえ本当に愛人だったのかよっ」
 舌打ちしたアラシに、森永も負けずに睨み返した。
「愛人なんかじゃない!俺は恋人だ!」
「そんな証拠、どこにあるんだよ!」
「証拠は……っ、ないけど」
「だったらお前の口から出まかせかもしれないよな?それか、宗一の方じゃ恋人だなんて思ってないかもしれないよな?」
「く……っ、お、お前だって、本当は婚約者なんかじゃないじゃないか!」
「オレはちゃんと証文もってますけど?」
 へへーんと舌を出して、ひらひらとノートを見せびらかしてくる。
 森永が言葉につまったとき、再び電話が鳴った。
 宗一からだ。
 森永は通話ボタンを押すなり叫んだ。
「先輩!俺は先輩の恋人ですよね!?愛人なんかじゃないって、このクソガキにはっきり言ってやってくださいよ!」
『な、なに言ってんだこのたわけがっ』
 うろたえたように怒鳴り返されて、すぐ脇に来て耳をそばだてていたアラシが、聞くなりそらみろと言わんばかりにニヤリと笑う。
「せんぱーい!照れずにちゃんと言ってよおぉっ!」
『こ、恋人なんかじゃねえ!!!』
 通話がぶちりと切れた。
「うわああああん!せんぱああああい!!」
 携帯を手においおい泣く森永の横で、アラシは手を叩いて喜んでいた。
















 兄さんの愛をかけた生意気な子供との争いの行方は…!?w
 
 続く(・∀・)
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