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SS とりこ

2014.04.22 (Tue)
ところで田所君は受けだと思う。

あの顔は絶対そうだと思う!o(`・д・´)oウン!!


なにかに気づきかけている田所君と美春さん。
一方で長く付き合っているっていうのに、まったくなんにも気づいていない山口君が最近とみに愛しいですwwそのままの君でいてww



山口×田所・・・。


・・・いや、なんでもない。なんでもないからッ


追記は森永×宗一兄さんのssですからw










 『 とりこ 』






 宗一の読書傾向は主に学術書のたぐいで、文芸関係の本などはまず読んでいるのを見たことがない。
 それが今日はどういう風の吹き回しか、小説らしきものを一心に読んでいる。
 森永が風呂から出てくると、宗一はさっき見たときと同じ位置、同じ姿勢のままでいた。片腕でソファの肘掛にもたれて、少し視線を伏せて。変わったのは、テーブルに置かれたマグカップの中のコーヒーの量、くらいのものか。
「先輩」
「んー」
「お風呂、次どうぞ」
「んー」
 聞いているのかいないのか。生返事を返すだけで、動こうとしない。
「コーヒー、新しいの淹れましょうか」
「んー…」
「それともいらない?」
 宗一は顔を上げることなく、ただ面倒そうに吐息をついて、もう返事さえしなかった。
 隣に座って、じっと横顔を見つめる。こうしていると、いつもならすぐに気づいて、なんだよ、とうるさそうに睨んでくるのに、それさえもない。夕食もほとんど上の空で、話しかける間もなく、食べ終えればすぐに本の続きの戻ってしまった。
 長い指がページをめくる、その静かな音だけが響く。
 森永はため息をついて、テレビをつけた。音量はできるだけ小さく絞る。
 コーヒーは淹れなおしてやらなかった。それは小さな意趣返しのつもりも含まれている。けれどその反面、自分の分も我慢してしまうあたり我ながら小市民だと思う。
 肘掛に頬杖をついてテレビを眺めながら、時折隣の宗一に目をやる。
 宗一は相変わらず本に夢中で、こっちのことなど空気かなにかと思っている風だ。
 オレはここにいるんですよ。ちょっとはこっちを見てくださいよ。
 唇を尖らせて声に出さずに呟いてみる。
 子供みたいだと自分でも思うが、面白くない。言ってしまえば、相手をしてくれない恋人に拗ねている。そうとも、自分は拗ねている。
 だって仕方ないじゃないか。ウザったいのしつこいのと言われようが、いつだって森永の関心ごとの一番は宗一で、宗一にとっても自分がそうでありたい。
 たとえばオレと本とどっちが大事なんですか、なんて言ったら。
 ──本って即答されそうな気がする。
 ぼんやりとテレビ画面を眺めながら、悲しい想像に思いをはせる。想像でくらい、甘くてとろけそうな恋人関係を思い描ければいいのに。四六時中べったりとくっついて、ずっとお互いを見つめ合っていたい。
 宗一がテーブルの上のカップを掴んだ。口元に運んで、はじめて中身がないことに気が付いたらしい。
 本を手にしたまま立ち上がり、カウンターへと歩いていく。コーヒーを入れる間も、片手に開いた本に目が向いていて、危ないんじゃないかと眉を顰めて思わず眺める。
 無事コーヒーを注ぎ終えた宗一は、片手にカップ、片手に開いた文庫本を読みながら、という危なっかしい形で戻ってきて森永の膝に座った。
 座り心地にぎょっとした顔で宗一が振り返る。森永がソファに座っていることを、まったく意識していなかったらしい。
 森永の方も、驚きすぎて思わず目を丸くして見返してしまった。
「あ、わり……っ」
 慌てて言って、とっさに立ち上がろうとしてコーヒーが跳ねる。
「あち……っ」
「あぶないですよ」
 膝の上で硬直してしまった彼の手からカップを取り上げ、テーブルに置いた。もう片方の腕はしっかりと宗一の腰に巻き付けたまま。
 ほっと宗一の体から力が抜けたのが、抱きしめた腕から伝わってきた。
 次の瞬間には、森永の膝の上という自分の状況を改めて思い出したらしい。
 はっとなって、急にもがきだす。
「てめ、離せよっ」
「自分から座ってきたくせに」
 くつくつ笑って、逃げ出そうとする体をすかさず両手で抱きしめた。自分より一回り小さい細身の体。ちょうどすっぽりと胸に入るサイズで、首筋に顔を埋めると胸がうずくような宗一の香りがした。
 宗一が真っ赤になって「違う!」と言ってもがく。
「いまはちょっと、間違って……っ」
「間違ってオレをソファだと思っちゃった?いいですよ、オレ先輩のソファで」
「おま、またおかしなこと……」
 肩越しに振り返った宗一が眉間にしわを寄せて見つめてくる。頬が真っ赤で、可愛いなと思ったと同時に、ついキスしていた。
 宗一が一瞬驚いた顔をして、すぐにさっきより赤くなって睨んでくる。
 森永は微笑んで、宗一の体を強く抱き寄せた。それからもう一度、さっきより深く長いキスをした。


 さっきまで宗一を虜にしていたはずの本は、半端に開いて床に転がったまま。それは朝まで放置されることになった。
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